今回は、自社の事業が置かれている状況の中、自社はどのようなポジションを構築していくべきかについて考えていきたいと思います。
自社の特徴にとどまらず、顧客像を想定しながら、どんな競合企業が存在し、どのような強みを持っているかも可能な限り正確に把握しておくことが大切です。この場合もやはり全体観が求められます。
「競争の戦略」という名著の中で、マイケル・ポーターは「選択の決め手は、その企業の強みに最も適合し、競争相手が一番応戦しにくい戦略を選ぶことにある」と述べており、また、多数乱戦の業界においては「差別化」と「集中」が有効である旨、明確に提言しています。リノベーション業界における「差別化」とは、住宅性能に関わることや、仕様など差別化して、置かれたエリアの中で付加価値を高めていこうという方向性です。上部構造だけ耐震補強し、基礎は補修程度という先行競合に対して、自社は基礎も徹底的に補強する、あるいは、デザイン(テイスト)訴求の競合に対して、あらゆる顧客接点で一貫して断熱、気密性能の高さ、自然素材(健康、快適)を訴求するといった例もあります。いずれも、他社がしていないお客様にとってメリットがあること、または社会にとって良いことという差別化が前提になり、真のプロダクトアウトとも言えます。
「集中」とは何か一つの領域に絞り専門化する、特定地域に集中するといったことも含みます。マンションやデザインでは戦わず、構造がからむため建築リテラシーを活かせる戸建リノベーションに絞る、古民家再生をコアターゲットにするといった取り組みが該当します。
「差別化」「集中」により(お客様の頭の中で)独自ポジションを築き持続することができれば、業界指標を大きく上回る実績、収益を得ることができます。それはリノベーション業界で先導的な取り組みをする成功事例企業のポジション取りで、実証されています。