着工残を確保し、新たな期を迎える(安定成長する会社の共通項とは)

私が住む横浜の南部で行列ができる工務店といえば、2社が思い浮かびます。

 リサーチ力が高まり、選択眼がシビアになっている中、アーキテクトビルダーとして本質を追求し、マーケケティング投資というより手間暇かけて発信し続けるような遂行力の高い2社に集中している印象です。いずれも年間の施工棟数を決めていることもありますが、着工は2年待ち、3年待ちと言われています。

 私のご支援先もすべてとはいきませんが、着実に受注を積み重ねながら着工残を1年分確保し、新たな期を迎える状況にある会社が3社、半年分以上が4社となっています。期首の時点で年間目標がほぼ達成している状況にあり、課題は目先の集客ではなく、来々期のリノベ案件だったり、施工管理や次世代の人材育成など中長期的な視点での課題解決を優先し、取り組んでいたりします。

 着工残を一定数確保している会社の共通項としては、

・専門部署、もしくは専門会社をつくり、対象を戸建住宅のリノベーションに特化している(ワンストップを全面に訴求するかたちではない)

・新築で蓄積してきた強みやDNAを一貫してリノベーションで活かしている

・あらゆる顧客接点で性能向上など明確なコンセプト、感性や情緒に訴えるデザイン性をかね備えている(同質化していない)

・情緒的なことと、スペックとのバランスが良い(スペックは当然押さえた上での情緒的なメッセージ)

・認知度アップやマーケティングというより、ブランディングに細心の注意を払っている

・高いスキルを持ったマーケティング人材が社内に存在する(インスタ、YouTubeなど内製化による量産化)

・リフォームの延長線上でリノベーションをとらえていない

・高価格帯ならではの、アウトプットを徹底している(親しみやすさより上質感を意識し、リサーチ力が高いアクティブシニア、高所得者の支持を集めている)

・大手リフォーム会社との差別化要素が複数ある(安易に二番煎じをしていない)

等があげられます。

 設計契約においても、1年間埋まっている状況を共有しながら、着工枠を確保するため(お客様の希望時期をかなえるため)の設計契約という位置づけになっています。

 リフォーム業界ではコロナ禍で前年比アップが44%、ダウンが45%、横ばいが11%というアンケート結果もありました(リフォーム産業新聞)。これらは、エリアの問題やコロナの影響といった外部要因ではなく、単に真価、進化が問われた結果であるととらえています。

 着工残を確保することは、安定成長させるためのポイントであると同時に、この時期に着工残が一定数あるかないかは自社を取り巻く市場において、バロメーターの一つと言えそうです。

この記事を書いた人

コダリノ