今回は私がどのようなプロセスを経て、戸建リノベーション事業の研究及びコンサルティングを確立してきたかについて述べさせていただきたいと思います。
現在取り組んでいるコンサルティングの原点は、2012年にさかのぼります。当時業界では大半が総合リフォームで、一部エリアで水まわり専門業態が少しずつ出始めていた頃です。リフォーム業界が成熟していく流れの中で直面したのが「工務店にとってのリフォームは何か」という問題意識でした。暗中模索する私に対して、気づきを与えてくれたのが当時のチームスタッフSさんからの「2000万円級のリノベーションなら(工務店の)強みを活かせます」という一言でした。
とは言え、次は「どのようにしたら大規模なリノベーションに特化した事業モデルを構築できるのか」という課題にぶつかります。イベント企画を練りに練って、クライアントに開催いただくと大型案件の比率が高まるのですが、大半は1000万円以下の案件で、業績貢献したとしてもリノベーションの事業モデルとはとても言えない内容でした。また、成約率も決して高いとは言えないレベル。それはなぜかと言うと、そもそも全体設計ができていなかったという理由に尽きます。
一方で有難かったのはリノベーション事業において先進的な取り組みをする北陸エリアのY社さん、東海エリアのS社さん等有力ビルダー10数社の経営者、経営幹部と情報交換するご縁に恵まれたことです。さらに2013年、当時のクライアントであった大阪の工務店に対して、リノベーションのモデルハウスの開設サポートをするという機会にも恵まれました。こうした事例の蓄積と検証、社内外からの示唆も受けながら、事業モデルとして着実に確立されていきました。
ただし、取り組む会社がすべて軌道に乗るビジネスなのか、その答えはNOです。いくら市場があり、今後さらなる拡大が期待されて、かつ競合が限られているとは言え、会社の経営資源(特に人的資源)に適合していなければ、難しいのが現状です。この点がリノベーション事業の参入障壁の高さと言えます。
引き続き、参入障壁の高さと再現性という永遠の課題に対して、いかに精度の高い事業モデルにできるか、気を引き締めて追究していきます。