雰囲気か数字か、それとも両方か

 今回は、言葉・雰囲気+数字、女性ユーザーと数字について取り上げ、どちらの要素も巧みに使いましょうという内容です。

 かつて、コピーライティングが脚光をあびて、その後、感情に訴えかけるエモーショナルマーケティングがあらゆる業界で浸透しました。昨今は、住宅業界でもキャッチフレーズや画像を重視した雰囲気マーケティングから、ファクト(事実)ベースのマーケティングの必要性が増していると指摘する識者もいます。

 特に成熟マーケットである新築業界では、YouTubeの影響もあり、一部の先進的企業にとどまっていた性能数字やスペックが広く浸透した印象です。リノベーションにおいても「HEAT20G2グレードをクリアしたい」「ZEHレベルにしたい」という要望が増えていると、都内リノベーション会社の社長から聞いています。

断熱はUA値が一人歩きし、耐震は等級3という数字の認知が一気に進んだ印象です。私も2016~2017年頃から、リノベ事業を展開する会社に対して、チラシタイトルを補う定量データやWEB上の情報としてUA値や上部構造評点を用いています。施工前との比較で3倍4倍という表記も推奨しました。当時は「UA値なんて誰にもわからない」と社内外から言われたものですが、わからないのは承知の上で掲載した意図はあくまでも裏付けデータであり、「タイトル(キャッチフレーズ)+事実ベース」という私なりのセオリーに基づいて、提案しています。接客現場に関わる人に対しては、サーモグラフィカメラによるビジュアル訴求、室温ベースのトーク、光熱費シミュレーション等、引き出しを豊富に持つことを推奨してきました。実際に国も新築分譲や賃貸に対して、光熱費表示の方向性に動いていることから、光熱費は特に押さえておくべきデータと言えます。

 一方、「女性には数字は刺さらない」という声も多く耳にします。

 他の業界はどうでしょうか。糖質やカロリーといったわかりやすい数字から意味がわかりにくい数字まで、パッケージ上やWEB上で幅広く採用されているのが現状です。

・糖質ゼロ

・カロリーゼロ

・アロエベラ96%天然由来成分配合

・MCTオイル1500mg、大豆タンパク20mg

・コラーゲン11000mg相当、ヒアルロン酸30mg

・イブプロフェン600mg

・乳酸菌EC-12が1000億個、植物性乳酸菌K-2が2000億個、シールド乳酸菌100億個

・180種類野菜・果物、11種類ビタミン・ミネラル・食物繊維

・8種のビタミン、1日必要量の1/3

・野菜350g使用、1日分の野菜

・ウィルス99%カット

・肌温度マイナス3度

・SPF50+

・着圧18hPa(ストッキング)

・ナノイーX9.6兆⇒新ナノイーX48兆(カビ菌抑制時間1/3倍)

・1時間電気代 最大1.6円(エアコン)

等々、自動車業界においては「最少回転半径」という数字を比較しながら検討する女性ユーザーが実際に私の周りにもいます。

 確かに男性脳、女性脳、それぞれの傾向はあるかと思いますが、性差に関わらずどういった数字を伝えると効果的なのか、男性目線に偏りすぎていないか、女性に刺さりやすい数字は何か、お客様にとってベネフィットとなり、よりわかりやすい数字は何か等、顧客目線で検討されると新たなヒント、気づきがあるのではと思います。

 数字が持つパワーが、安心感という雰囲気をつくることもできると考えています。住宅業界において「言葉か数字か」「雰囲気か数字か」という二項対立ではなく、画像も含めたあらゆる要素を効果的に活用していくことを引き続き追求していきます。

この記事を書いた人

コダリノ