戸建・性能向上リノベーション事業 販促の考え方(その2)

リノベーションならではの押さえるべきポイント「建築のプロ」

 「それ、水まわりリフォームの延長線上ですね!」これは10年以上に渡り、リノベーション事業において数多くの集客手法を見てきた中で、幾度となく感じてきたことです。建築知識が豊富で、施工品質に対してこだわりを持つ工務店と面談し、うならされることも多いですが、いざエンドユーザーに対して何かを発信するとなると、卓越した自社の強みがきちんと伝わっておらず、残念に感じることも珍しくありません。

 今回、最初に伝えたいことは販促手法を考える大前提として、リフォーム市場のどの領域を対象にするのか、それによって押さえるべきポイントが変ってくるということです。自動車業界においても価格150万円程度の軽自動車を中心に取り扱うメーカーと1000万円、あるいはそれ以上の高価格帯中心のラグジュアリーブランドではショールーム、WEB、DMなど各顧客接点でのアウトプットのあり方、接客に至るまで大きく異なるのはご存知の通りです。

 一方、リフォーム業界では水まわりリフォームの平均単価は70~100万円、外壁塗装は120~150万円、特に性能向上をともなうようなスケルトンのリノベーションの中心は2000万円級と大きな開きがあります。水まわりや外壁塗装だと安さ感やにぎにぎしさ、親しみやすさが重視され、LDKリフォームならデザイン性、性能向上リノベーションなら、さらに建築のプロとしての共感、ファン化が大切な要素になると考えています。新築業界の2000万円級とも顧客属性が異なりますので、それらとも分けて考える必要があります。

・大都市圏なのか、小商圏なのか

 戸建リノベーション事業の年商が5億円を超えるような先進企業の集客基点は大きく分けて3通り存在します。1つ目は高い次元でWEBを駆使し、スタジオ型で展開する例、2つ目はお客様宅の完成見学会を継続開催する例、3つ目がフラッグシップとしてリノベーションモデルハウスを展開する例です。大都市圏では、デザイン訴求と性能訴求の会社に分けることもできます(デザイン訴求なら事例写真のクオリティ、サイト全体のセンス。性能訴求なら断熱、耐震においての発信力がカギとなります)。都内であれば仮にコアターゲットとしてツーバイフォー住宅のリノベーションに絞ったとしても、競合が限られるという背景もあり、一定の案件が発生するポテンシャルがある可能性が高いです。つまり何かに特化しても、需要があるため成立するということです。商圏人口が20~30万人程度なら、現時点ではWEBを補う紙媒体も不可欠であることが多く、集客基点に関しても前述の3通りのいずれかをミックスしながら、「認知→関心→予約」という面での広がりを構築できている例が大半です。

さいごに

 前述のように自社を取り巻く市場を見極めながら、すべてのベースとなるのは自社の提供価値であり、それが社員や職人さんに共有されて、さらに扱う商材や施工現場まで落とし込まれ、その上で発信があって初めて成立します。領域ごとのポイントを押さえながら、こうした善循環の結果として地域での評判やブランディングにつながるという考え方で取り組んでいただきたいと考えています。

この記事を書いた人

コダリノ