持ち家のリノベ、中古を買ってリノベ、中古(戸建)買取再販の可能性を考える

 「ウッドショック、鉄鋼ショックで高騰が続く中、新築は厳しい、これからは戸建リノベーションだ」「スクラップ&ビルドの時代ではない、ストック&リノベの時代だ」そういう声をよく耳にしますが、「一歩目のステップが踏み出せない」「何から始めたらいいのか」という方も相当数いらっしゃるようです。そこで今回は、リノベーションの3つの領域に対して、ヒントを提供できればと思います。

 表題の通り、戸建リノベーション事業の業態は大きく分けると、持ち家のリノベーションをターゲットにする、中古を購入しリノベーションする層を狙う、リノベーション済中古住宅を販売する、以上3通りです。下記に一つひとつ見ていきたいと思います。

・持ち家のリノベーションを対象にする事業

 新築、建て替え層がリノベーションも選択肢に入れることは容易に想像できるかと思います。建築知識、リノベーションの経験があれば、第一候補です。不動産仲介の知識がなくても取り組めるという点が大きく、さらに建て替えかリノベか迷う層を取り込むことで、新築部門、リノベ部門の相乗効果につながる点も見逃せません。単にリノベ案件を集めるという数の原理ではなく、家を残したいという「質の原理」で機能的価値、情緒的価値を訴求し集客設計することが大切です。

・中古を買ってリノベーションする層を対象にする事業

 まず、中古住宅購入者の志向について、注文住宅の設備等選択理由は「高断熱・高気密だから」が1位(63.1%)、一方、中古住宅の設備等選択理由は「間取り・部屋数が適当だから」が1位(73.1%)で「高断熱・高気密だから」はわずか6.7%で選択肢の中で最下位です。別に中古住宅取得理由という項目がありますが当然かもしれませんが1位は「価格が適当だったから」となっています(国土交通省令和4年3月資料)。ここだけ見て判断するのは短絡的かもしれませんが、そもそもコストから入ることが現状で、この志向に適応できるだけのコストバランス(経営構造、原価コントロール)、不動産に精通しているか、物件から探すという中長期化客の囲い込みやフォロー体制があるといった条件が揃っている会社が機能している印象です。一方、こうした仕組みがないと、事業として苦戦する可能性が高いでしょう。

・中古買取再販ビジネス

 G2リノベ済中古物件も出てきており、注目度が増していますが現時点では大都市圏の地域力のあるエリア、またはごく一部の地方での特殊事例にとどまっており、再現性、成功要因の見極めがカギとなっています。業界大手のK社は、地方の20万人程度の商圏中心に展開し、原価300万円程度の表層リフォームが基本で、販売価格の中心は1500万円という印象です。一方、首都圏で性能向上も追求するR社はかつて戸建再販事業に取り組んでいましたが、現時点ではマンション比率が圧倒的に高く、戸建性能向上リノベ再販の仕組み化の難しさが伺えます。とは言え、R社はデータを蓄積する強みがあり、築年数別にリノベ仕様を平準化したり、直接仕入れを含めたコストバランスの課題を解決できれば、事業展開の余地はありそうです。

※参考:注文住宅(土地含む)平均価格=5112万円、中古戸建住宅平均価格=2959万円/令和3年度国土交通省資料(首都圏)⇒今後の価格差の広がりで追い風に

さいごに

 3つのリノベーションの中でどの業態に取り組むべきか、その判断基準として、市場規模が大きく(需要と将来性もあり)、競合が限られ、強みを活かせること、この3つが重なるビジネスこそ取り組むべき事業です。新築と一般的なリフォームとの業際にある持ち家リノベーションと、新築と不動産の業際にある中古リノベーション。判断基準として、強みを活かせるかどうかは慎重に見極める必要があることを最後に付け加えておきます。

この記事を書いた人

コダリノ