「魔法のリノベ」(第1話)を視聴して ~リノベーションならではの提供価値が認知されて、市場や業界に与えるプラスの影響を期待~

・全編を通じて、ドラマの主旨は「家のリノベーション=人生のリノベーション」

 地域工務店がリノベーション検討客の思いに寄り沿い、家を劇的に変化させるだけでなく、人生をも変えていくという主旨の業界ドラマ「魔法のリノベ」がスタートし、住宅、特にリフォーム業界で話題になっているようです(第1話 世帯視聴率 関東7.4%、関西9.2%)。私はめったにテレビを観ないのですが、さすがに今回の第1話はチェックしました。所感を下記にまとめたいと思います。

・大手VS中小という構図(営業会社vsお客様の思いへの寄り沿い)

 「大手リフォーム会社VS地域工務店(まるふく工務店)」という対立軸になっています。番組のエンドロールを見て気づいたのですが、リノベーション監修者の西尾氏は大手リフォーム会社(トップセールス)出身ということもあり、大手リフォーム会社の社風や上司との会話、お客様に対する姿勢はよりリアリティに富んだ内容に仕上がるよう、アドバイスしたのではないかと推察します。商談場面での「過去にこだわってないで進めましょう」といったトークや、上司が「こんな家、住んじゃいけないよ」という一言にも姿勢を映し出す意図があったのかもしれません。

 一方、まるふく工務店は「古い家がずっとイヤだった」と思い入れがゼロの夫と、「縁側は両親との思い出が多くある場所」という奥様の実家に対する思いに対して、「このご夫婦の大切にしているところを見つけること」「古いものを残しつつ、新しさの中に組み込むプラン」「古くて思い入れのあるものを大切に、ピンポイントに残す」「古くても残す価値があるものは残すのがまるふく工務店の考え方」というように、お客様の奥底の思いをくみ取ろうとする真摯さが印象的です。

・リノベーション営業のヒントがちりばめられている

 「リノベは高額商品なんですよ(キャラクターに対して主人公が諭したコメント)」「営業は五感を研ぎ澄ませないといけない」「どうぞイメージなさって下さい。これからの人生を」等々、リノベの若手セールスパーソンに役立ちそうなヒントもありました。

・リノベーションらしさが浸透し、市場の喚起、業界がまた一歩発展することを期待

 米ギャラップ社による調査では「エンゲージメントが高い(熱意あふれる)社員」の日本の割合は6%と、139カ国中132位となっています。会社である以上、利益を追求するのは当然です。しかし、利益が優先しすぎては、会社本位になり、お客様の思いに対する視点を忘れがちになります。多くの会社で存在意義、使命、目的が共有できていない(腹落ちできていない)ことも大きな要因の一つではないかと考えています。

 リノベーションの定義はあいまいになりがちですし、実際の現場はもっと泥くさいこと、ドラマのようには行かないことも多々あることは承知しているつもりですが、リノベーション市場の喚起はもちろん、リノベーションの提供価値や働きがいに気づき、成約ゼロ行進からできる営業マンへ変貌を遂げようとする主人公の成長が、業界で働く一人でも多くの人にとって、示唆となることを期待しています。

この記事を書いた人

コダリノ