リノベーション事業の組織体制 分業と調整

今回はリノベーション事業の組織づくりが主たるテーマで、このようなことを考えている方を主たる読者と想定し、述べていきます。

□リノベ事業を始めるにあたり、どのように組織化するのか・・・

□特定の社員に業務集中している・・・

□分業制がよいか、一貫施工体制がよいか・・・

□そもそも専属スタッフが必要なのか・・・

□リノベ事業を5億円規模にしたい・・・

「戸建リノベ時代の幕開け」「戸建リノベ参入元年」というフレーズを見かけるようになりました。先週は北関東や東海圏からリノベ事業に関する新規ご相談を受けましたが「これからはリノベだ」と意識を高めている方が増えてきているようです。

リノベ事業参入にあたり、最初に課題となるのが組織編成ではないでしょうか。結論としては、自社の組織は、自社なりにカスタマイズしていくしかありませんが今回は事例と考え方をお伝えすることで、多少なりともセオリーと言えることに迫っていければと思います。

・H社(新築母体で、リノベ事業5.3億)

営業4名(積算兼務)、施工管理3名、IC1名、その他管理職2名、設計は新築兼務という分業体制。営業担当により積算を施工管理者がチェックする流れになっています。フルオーダーのリノベーションを基本としながら、パッケージで対応できるリノベも一定の比率で維持しています。前提として築古戸建が少ないエリア、断熱・耐震性能が基準を大きく下回っていないという地域特性があります。基礎の刷新が必要であると判断された現場は、建て替え(自社新築事業)へ誘導しています。

・Y社(リノベ事業に事業転換し、年商6億超)

営業(初回担当3名+2回目以降担当1名)、積算1名、設計2名、施工管理5名+その他という施工管理中心の組織体制。「施工管理こそリノベーション事業の要諦だ」「リノベーションの施工管理力を受け継いでいく」という強い思いで組織づくりを進めているリノベーション会社です。現場監督として長年にわたり知識・経験を蓄積してきた社長の想いが反映された組織と言えるでしょう。かつては特定の営業担当に業務集中していたものの、商談ステップでのさらなる分業、積算業務の切り離しなど着々とチーム対応の比重を増やしています。

上記2社は限られた事例ですし、地域特性の違い、フルスケルトン比率等の違いがありますがリノベ事業の組織づくりにおいてヒントがあるのではと思います。

下記は前述の事例に加えて、経営指標を含め、支援現場で導き出された一つの方向性です。

・営業、施工管理、設計を主たる職種として組織体制をつくる

・分業を基本としながら調整を繰り返しながら組織をデザインする

・職種に限らず1人あたり売上5000万円を目安とする

・販管費率22%を指標に営業利益率6~7%を確保する(粗利率29%)

・新築事業の粗利+5%を目指し、生産性を上げるためにもリノベ単価の維持を常に意識する

有効に機能する人員配分のイメージを描きながら、考え方を押さえることが組織づくりのはじめの第一歩。組織づくりの方向性をつかむことで、同時に問題点も見えてくるのではないでしょうか。分業、調整をキーワードにその問題点に対峙しながら、自社ならではの組織を構築していただきたいと思います。

この記事を書いた人

コダリノ