「自社が取り組んで本当に事業化できるだろうか」「うまく行かないパターンはどのような傾向があるのだろうか」そのような不安な面もあるかもしれません。私は講演の導入部分で事業化できている事例、事例の背景や共通項、軌道に乗らない会社の共通項についてお伝えしています。今回はその内容をかいつまんで述べたいと思います。
結論として、軌道に乗らない共通項は、マンパワー不足(片手間)やそもそもトップラインである集客上の顧客接点を整えることができなかったという例があります。
・マンパワー不足
社員3名4名までの会社でリノベ事業に参入するような場合、新築事業もリノベ事業もという姿勢では片手間になりがちで、軌道に乗るまでかなりの期間を要する可能性があります。このような場合は、事業転換させて、会社の経営資源をすべてリノベに投入するくらいのエネルギー、本業発想が必要だと考えています。
・集客上の顧客接点の整合性
過去に、チラシを少しアレンジして、あとは水まわり中心のホームページ、同じショールームのままというケースがありました。このような状態で同じようなチラシを配布し続けてもリノベ案件の確保はできません。つまり、水まわりリフォームの延長戦上にリノベーション事業はありません。いくら難易度が高いリノベーション案件に対応できるスタッフがいたとしても、起点がうまく行かなければ事業化はできません。
・違う意見、考え方を否定する姿勢
さらに「水まわりリフォーム事業ではこのようにやってきた」「新築のマーケティングに貢献してきた」というような固定観念やメンツがマイナスになることがあります(私も含め特に中高年)。リノベーション事業に限ったことではありませんが事業化プロセスやマーケティング面においては、ありとあらゆる問題に対して、自分は正しいと信じこむより、実践スピードと「(自分は)どこか間違っているかもしれない」と常に客観視できる人が強いとつくづく思います。
以上はいかに信頼関係を築くか、いかに腹落ちさせて実践いただくかという点で私も自問・反省させられます。
新規参入の場合、不安になるのは当然のことだと思いますが、私のご支援先の参入時を振り返りますと、「軌道に乗るか、軌道に乗らないか」ということより、「リノベは我々が取り組むべき領域だ」「リノベ事業は強みを活かせる」という使命や矜持があり、その強さが不安よりも上回っていたことが思い出されます。ぜひ、このような強いマインドの工務店さんに取り組んでいただきたいと思います。きっと、本格参入に向けて原動力になり、結果として事業化できるはずです。
私自身も地に足つけて、提案の精度を上げられるよう鋭意努めます。