木造住宅、鉄骨住宅、RC住宅、それぞれ二酸化炭素を30トン、60トン、90トン排出すると言われています。カーボンゼロという世界的な要請をを受けて、自動車業界の動向記事が目立ちますが、住宅業界において省エネ基準は言うまでもなく、ZEH、さらにLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)への姿勢が問われる時代になりそうです。大きな潮流をしっかり受け止めて、今後の提案に活かしてまいります。
以下はカーボンゼロ関連記事の備忘録として記載します(日本経済新聞より/2021年1月1日~13日)
<2021年1月1日>
・日本も2050年までに二酸化炭素(CO2)など温暖化ガス排出実質ゼロにすると宣言
・世界太陽光発電に占める中国の比率は2010年2%→2018年32%に
・昨年9月習近平はCO2の「60年ゼロ」を表明、現在新設される設備の4割が中国
・国連環境計画によると世界の2/3にあたる126の国・地域がCO2など温暖化ガスの実質ゼロを表明
・アイスランド南西部では火山の熱で発電する地熱発電所の脇で世界初の工事が進む(大気中のCO2を吸い込み地下2000メートルで岩に変える
・2018年CO2排出削減の国外出願特許は日本は約15000件、2位の米国の1.7倍(10年連続首位)
・シャープは太陽光だけで走れる車を目指している(プラグインハイブリッド車に載せると1日の充電分で56キロ走る計算)
・三菱ケミカルでは、水素とCO2を反応させ、プラスチックや化学繊維の原料をつくる実験が進んでいる(CO2を消費する取り組み=CO2を資源にする技術)。
<1月3日>
・NTTの使用電力は国内発電量の1%。宮古市と提携し、50年に(市内で)再生可能エネルギー100%を目指す
・仮想発電所(VPP)事業に三菱商事と組んで参入。
・グリーントランスフォーメーション(GX)
・日経平均株価の構成銘柄(225社)のうち、少なくとも39社が温暖化ガス排出ゼロの目標を設定。
・菅首相にとって胸に秘めた政策(小泉環境相からの120以上の国・地域がかかげていると聞いていた)
・世界的な再生可能エネルギー企業への事業転換を完了した(デンマーク電力大手のCEO)=電力、ガス小売部門など売却済み・・・時価総額は2016年上場時の5倍へ
・カーボンゼロを制するものが世界を制す時代へ
<1月4日>
・あらゆる場所を(フィルム型)太陽電池で埋め尽くす(東芝)=電気を生む効率は世界最高14.1%、ペロブスカイト型(液体の原料を塗るだけ)
・1キロワット時あたり2円前後と最も安い再生可能エネルギー(中国にはこの電池の研究者は1万人、日本の10倍)
・九電みらいエナジーは海底でプロペラを回し発電機を動かす取り組み(天気に左右されない)=潮流発電(日本近海には原発20基分の潮流エネルギーが眠っている
・バイデン氏は2035年までに電力を脱炭素化する(電力部門の投資額は2030年に世界で230兆円、2019年の約3倍になる見込み
・再生エネルギー比率を約5ポイント増やすのに、ドイツは年3000億円の国民負担、日本は年1.8兆円
・英国は2030年からガソリン車で動く新車の販売を禁止
・一次エネルギー消費に占める化石燃料は2018年85%から2050年20%に減るとみられる(イギリス石油・ガス大手BP社)
・日本の輸入原油の約9割が中東
<1月5日>
・欧州最大の水素事業では、洋上風力発電の整備により(2030年までに最大400万キロワット)、海水を電気分解し、水素を生み出す=40年に800万~1千万トンCO2排出を削減
・EUは50年までに洋上風力発電を現状の25倍に引き上げ、水素戦略に約60兆円投資
・30年に水素の製造コストが1.8ドルに下がれば、世界エネルギー需要の15%を満たす(現在6ドル)。
・東京ガスは2019年11月「50年ごろの温暖化ガス排出ネットゼロ」を宣言、水素製造でも現状の流通価格(1キログラム当たり約1100年)から30年に1/3に下げる政府目標を前倒しで達成させる(14万台販売するエネファームのノウハウを活かす)
・東北電力(NEDO、東芝、旭化成)は原発予定地だった福島県浪江町に2020年2月水素施設完成
・今電力の約4割は液化天然ガス(LNG)=日本が世界に先駆けて1960年代から調達
<1月6日>
・米国では小型原子炉を開発
・ロシアでは海に浮かべた小型原発が威力を発揮
・ノルウェーは9割水力でまかなえる
・日本政府はCCSを進める(CO2を回収・貯蔵する)=貯蔵コスト1トンあたり約7千円かかる
<1月7日>
・世界のESG投資(3200兆円)は投資全体の1/3に
・出光興産は複数の投資対象から外され、SUBARUも大手投資運用会社(英国)から一部外されたあと、情報開示など努力が評価され復帰
・英国CDPが世界9526社の気候変動対応を評価(2020年)、日本ではトヨタはじめ53社が最高評価=国別では米国と並んで最多
・ESG投信への流入は3000億ドル(2019年比で倍増)
・国連防災期間によると、2000~2019年の20年間で洪水、台風など大規模な自然災害は計7348件。1980~1999年の1.7倍に。経済損失も2.97兆と1.8倍に
・対応が遅れれば、世界GDPは2100年まで最大25%失われる
・イギリスでは2021年1月から上場企業は気候変動が財務に与える影響の開示を義務化した
・ウィルスも以前から警告されていた
<1月9日>
・世界のCO2排出で「運輸」は「発電・熱供給」に次ぐ2割強
・航空機の排出量は乗客1人移動1キロ換算で鉄道の5倍
・欧州の大手エアバスは、35年温暖化ガス排出ゼロの航空機実用化を宣言(液化水素をガスタービンで燃やして飛ぶ)
・「空のテスラ」と呼ばれる新興企業(ドイツのユニコーン「リリウム」)は、25年の商用化を目指す
・中国では、GMとの合弁企業が2020年7月に発売した小型EVは9月販売台数でテスラのモデル3を追い抜いた(航続120キロメートルだが46万円~と安い)
・30年以降、EVが過半数になれば、車の価格は現在の1/5程度に(永守社長)
・3万点の部品が、EVでは4割ほど減少
・2021年2月トヨタは裾野市でゼロ・エミッション車だけが走るウーブン・シティ着工(3000ものパートナーの応募)
・カーボンゼロで産業地図が塗り替わる
<1月11日>
・2025年カーボンゼロ都市になると決めたデンマークのコペンハーゲン。2019年のCO2排出量は102万トン(2012年から4割減)
・コペンハーゲンでは2025年75%の市民が自転車、徒歩、公共交通機関を使うという目標、風力発電100基、下水汚泥からのバイオガス等々
・世界100都市のCO2排出量は全体の18%(信州大学など国際研究グループ)、都市主導の削減効果は大きい
・国連推計では世界に占める都市人口は2018年55%から2050年68%へ
・ニューヨークでは温暖化ガス排出量の7割が建物(2019年成立の気候動員法では、24年から約5万棟のビルが排出上限を設け、超過すれば罰則
・日本では90年度と2019年度のCO2排出量比較は業務部門が1.3億トンから1.9億トンへ、家庭部門は1.3億トンから1.6億トンに増えた
<1月12日>
・2040年までに二酸化炭素の排出量をゼロにする(ジェフ・ベゾス)、売上高が2割増えた2019年二酸化炭素の排出量は15%増加している
・2025年再生可能エネルギーを100%にする(〃)、電動配送車10万台導入
・電池関連スタートアップに投資
・蓄電池の需要が拡大すればチリは今のサウジアラビアのような存在になる(リチウムの埋蔵量の7割がチリなど南米)
・中国は日本が輸入するリチウム材料の一つで7割以上のシェア
・米スタートアップ企業マルタは、再生エネルギーを貯蔵する技術を開発する(電気を熱に変え、塩に貯める)=ビル・ゲイツ氏が設立した基金も支援
・東京理科大などがありふれたナトリウムを使い、リチウムイオン電池の性能を19%上回る電池の実現に道筋をつけた
・2050年に据え置きの蓄電池は300倍必要(国際再生可能エネルギー機関)
・太陽光発電の併設で蓄電池の価格が1キロワット時あたり4万円前後を下回ると電力会社から電気を買うより節約になる(テスラが2020年日本で発売した蓄電池は同7万円台=国内メーカー商品の1/3)
・蓄電池はカーボンゼロ社会に欠かせぬインフラになる
<1月13日>
・バイデン政権はパリ協定復帰の見通し。2兆ドル(約208兆円)を環境インフラへ投じる。EV拠点50万カ所整備、数百万人の雇用創出。
・フランスは経済対策1千億ユーロ(約12兆6千億円)のうち1/3が環境関連
・英国は120億ポンド(約1兆6千億円)
・フランスやオーストリアは機体の燃費向上などでCO2排出を減らすことが公的支援の条件(オーストリアは鉄道で3時間以内に着く場所とむすぶ航空路線の廃止を求めた)
・企業の現預金(240兆円)を投資に向かわせる(政府がまとめたグリーン成長戦略)
・日本のカーボンゼロには50年までに計165兆円の投資が必要(名古屋大学天野教授)